クリームシチュー事件
我が家には大きな鍋が1つある。
内径26センチ、高さ12センチ。
満杯にすると5リットルの水が入る。
5人家族のパスタを茹でる時や、2日分のカレーを作る時、あとはお客様が来る時なんかは大活躍してくれる。
近所のホームセンターで買ったものだけど、ステンレス製でしっかりしてるから、もう20年以上は使っている優れもの。
* * *
この日、私はクリームシチューを作り過ぎてしまった。
この大きな鍋に、ほぼ満杯。
子供たちはまだ幼かったので、夕食が済んでも、鍋の中はさほど減っていない。
(・・・困ったなぁ。明日食べても、まだたくさん残りそう。)
子供たちに聞いてみた。
「明日もシチューでいい?」
「いいよー! シチュー好きだから!」
口々に「いいよ。」と言ってくれた。
残業で遅く帰ったオヤジ。
シチューを温め直して、オヤジの遅い夕食の準備をした。
「あのね、
今日シチューを作り過ぎちゃって。
明日の夜もシチューになるけど、
大丈夫?」
「べつにいいよ。」
「良かった。ありがとう。」
オヤジは前日の残り物を食べたがらない。
よほど好きなものでない限り、
「いらない。」と言う。
だから、なるべく1日で食べきれる量を作るようにしてきた。
( 良かった! シチューは好きだから明日もオッケーなんだな。)
私はちょっと安心して、子供たちが寝ている部屋に向かった。
次の朝。
シチューがいたまないように、一度火を通しておかなければ。
カチッ
ガスをひねる。
( ん?)
( んん?)
(・・なにか変)
( なんだろう、この焦げるような匂いは?)
慌ててガスを止め、蓋を開けた。
(!!!!!)
「うわーーーーっ!」
叫び声がよほど大きかったのか、子供もオヤジも駆け寄って来た。
「おかあさん、どうしたの!?」
「シ、シ、シチューが!!!」
「シ、シ、シチューが!!!」
「シチューがどうした?」
と、オヤジ。
「シチューが、
からっぽーーー」
* * *
気絶しそうだった。
あんなに大量のクリームシチューを、
一食で、
一気に、
食べてしまう人がこの世に存在するなんてーーー
「だってー、おいしかったんだモン ♪ ♬ ♫ 」
・・・オヤジの弁明
今日のひと言
あなたの旦那様が、『度』を過ぎない人でありますように・・・