高圧洗浄機事件
こんにちは。
4年前に今の家に引越して来ました。
中古の家というのは、住んでみるといろんな不具合が出てくるもので、それなりにメンテナンスが必要です。しばらく空き家状態だったのが原因なのかなと想像しています。
「家」というのは、やはり 人が住むことで息をするし、人が手を入れることで元気な状態を保つのだろうな・・・と、最近になって実感がわいてきたところです。
一番最初にしたのが、カーテンレールの取り付けでした。
当初1階のサッシ窓には、ぼろぼろに壊れたブラインドがダラ~ンとぶら下がっていました。それが4箇所もあり、ブラインドを新調するには費用が高くかかるし、せっかくのリビングだから明るくしたい。そう思って、自力でカーテンレールを付けることにしたのです。
ホームセンターで材料を購入。出窓が1箇所あるので、そこには窓に沿って曲げられるタイプのレールを買いました。
ブラインドを外すのも、レールを取り付けるのも、そう、私の仕事。
けっこうな体力仕事。
それをじーっと見ているオヤジ。
「おとうさん、マイホームの記念にネジを1本くらい回したらどう?」
と声をかけましたが、
「いや、いいよ。」
オヤジは腕組みをほどくことなく、
脚立の上の私を見上げていました。
とほほほほほほ
* * *
約1年後。
玄関に続く通路と、それを囲む塀。ここの汚れが気になるものの、後回し後回しになっていた。
石畳風の通路はうすく苔がついているのか、雨が降るとぬるぬるで危険。
日当たりのせいか塀にも苔がつき、長年の汚れも相まって、情けないほど見苦しい。
CMなどでよく見る、高圧洗浄機!
高圧水を当てると、シャーーーッと汚れが流れ落ちていくアレ。
オヤジ、
こういう簡単そうに見えるものには、
興味を示す。
そして、
即買い。
さあ、やるぞっ!!!
・・・・が、
ホースがつなげられない。
あーだこーだ言いながらも、
つなげられない。
たまたま通りかかった隣りのご主人が、声をかけてくださった。
「おっ、何をやってるんですか?」
「この辺りをきれいにしようと思ってるんですけど、初めてで使い方から分からなくて。」
( これは私の言葉。オヤジは人に聞けない。)
「ああ、僕、これ得意ですよ。
仕事でも使うんで。
ちょっとやってみましょうか?」
「わあ、すみません。助かります。」
隣りのご主人、ちゃっちゃっちゃー。
「使い方は分かりますか。やってみますね。
こうやって、こうやって、こうですよ。」
シャーーーッ シャーーーッ
「すごい威力ですねー。分かりました!
ありがとうございます!」
「じゃあどうぞ。やってみてください。」
オヤジがノズルを手に取った。
シャーーーッ シャーーーッ
「うわ~~~~~~!
うおっ! うおっ!
すごっ! すごっ!」
オヤジ、
テンション上げてきたーーーーーー!
シャーーーッ シャーーーッ
隣りのご主人は、しばらく様子を見てくださった。ありがたや。ありがたや。
「じゃあ、そろそろ失礼しますね。」
「ほんとにありがとうございました。
助かりました。
おとうさん、お帰りになるってよ。」
シャーーーッ シャーーーッ
「おお、ありがとうございました。」
振り向いたオヤジ。
シャーーーッ シャーーーッ
やさしい隣りのご主人は、
「大丈夫です、大丈夫です。」
そう言いながら帰って行かれた。
本当に、本当に、
ごめんなさ~~~~~~~~い!!!
こんなオヤジで、
ごめんなさ~~~~~~~~い!!!
ご主人の姿が家の中に消えるまで、私は頭を下げ続けた。
シャーーーッ シャーーーッ
オヤジはまだ面白がっている・・・
今日のひと言
あなたの旦那様が、人を高圧洗浄しない人でありますように・・・・
セイタカアワダチソウと秋の空