花火大会事件
それは遠い昔の話。
29歳で結婚し、31歳で初産。いや、長男が出産予定日を過ぎて生まれてきたために、私の誕生日を通り越したのでした。ギリギリアウト! 32歳での初産でした。
年齢はそこそこいっていても、初めての妊娠生活は、やはり心もとないもの。喜びがあり期待がある一方で、ず~っとず~っと不安がつきまといます。
何せ、今まで経験したことがないのですから、体の変化ひとつ、気持ちの変化ひとつ、誰かの言葉ひとつ、雑誌の言葉ひとつに、右往左往していました。
( あ~、なんてウブだったのかしら💛 )
( それが今じゃどうよ💦 こんなブログ書いて💦 )
・・・と、前置きはこれくらいにして。
今回は初妊娠の臨月直前、すっかりお腹が重たくなっていた頃の話です。
* * *
結婚して2度目の夏、私はあと3日で臨月( 妊娠10ヶ月 )。お腹はパンパンに膨らんでいた。
花火大会の新聞記事を読んでいたオヤジが、
「確か去年は花火大会、見に行かなかったよなー。」
と言った。
( へっ?
一緒に見たことなんて1回もないし。)
「今夜あるってよ。行きたいなー。」
とオヤジ。
「私、こんなお腹だから、今年は行けないよ。」
「ええーーーー。」
しぶるオヤジ。
「じゃあ、遠くから見る?」
「おっ、いいねー。」
食いつくオヤジ。
「◯◯の辺りだったら、見えるんじゃない?」
「おおーー、その手があったか!
そこなら道も知ってるから、
行こ、行こ!」
俄然張り切るオヤジ。
ということで、夜なって出かけることにした。
知ってる、とオヤジが豪語したので、私は安心して助手席に乗っていた。
「んー、ここじゃ見えないから、脇道に入るか!」
「道は分かるの?」
「大丈夫、来たことあるから。」
オヤジはどんどん進む。
辺りはすっかり暗くなった。
ここはどこだろう。丘の上? 山の上?
確かに道はあるようだが、舗装されていないのか、車がガタガタしてきた。
民家はすっかり見えなくなった。周囲はすべて草むらのようだ。
私はだんだ不安になってきて、
「もうこの辺りでいいんじゃない?」
と言ってみた。
「大丈夫だって。来たことあるんだから。もう少し・・・」
オヤジは、どんどん道なき道を進む。
そして、
ガコン ガコン ガコン・・・
車が傾いて、
止まった。
「ど、どうしたの?」
「脱輪したようだ。」
助手席側のタイヤが、溝に落ちたらしい。
オヤジが何度かエンジンをふかしたが、動く気配もない。
「チッ!」
「どうするの?」
「ちょっと後ろから押してみてくれ。」
「押すって、私が!?
私、こんなお腹だよ!?」
「仕方ないだろ。他に誰もいないんだから。」
( ・・・・・ )
「いやいや、無理だから。
力( りき )んで生まれでもしたらどうするの?
私が運転するから、あなたが押してみて。」
オヤジはブツブツ言いながら車の後ろについた。
「せーの!」
ブォォォォーーン
「せーの!」
ブォォォォーーン
やはり、動かない。
その後オヤジを説得して、助けてくれる人を探しに行かせた。かなり時間はかかったが、幸いにも人が見つかり、車は無事に動かせた。
* * *
数日後、オヤジに聞いてみた。
「本当に、あの道を通ったことがあるの?」
「ああ、昼間だけどね。」
「本当に、あの道だった?」
「さあ、どうだろうね。」
やっぱり知らんかったんかーーーーーい!!!
追記 : あの日花火を見たのかどうか、
その記憶は全くない・・・
今日のひと言
あなたの旦那様が、妊娠中のあなたを心からいたわってくれる人でありますように・・・