いよいよ出産! 事件
こんにちは。
今回は「花火事件」から一か月後、いよいよ第一子が誕生する時の話です。
* * *
陣痛が始まり、産婦人科に入ったのは、土曜日の午後でした。
土曜日の午後・・・そうなんです。いつも検診をして下さっていた院長が、お休みに入られてしまったのです。そして目の前には、どこかの大学病院から派遣 ( 詳しくは分かりませんが💦 )された、初対面の若い医師が!!!
32歳とはいえ初産の私は、一気に期待より不安の方が大きくなってしまいました。
陣痛とは、来たりやんだりの繰り返し。時間が経つにつれ、だんだん、どんどん、痛みが増します。
「まだですか?」と看護師さんに問うと、
「まだまだ、こんなものじゃないですよ。
ニカッ。」と返事が・・・。
( ヒエーーーーッ )
夜になり、ついに、分娩室の隣の部屋へ。
( ・・・こんなに痛いのに、
まだ生まれないのぉぉぉ? )
( イテテテテ・・・ )
その上、途中で診察に来られたアノ若い医師が、
「あれ? 赤ちゃんの心音が弱まってますね。
へその緒が首に巻きついちゃったかなぁ。」
と。
( ・・・ちゃったかなぁ?
本当に、あなたで大丈夫なのぉぉぉ? )
( うおっ! また来た!
イッテーーー・・・! )
若い医師は看護師さんを呼んで、小さな声で話し始めた。
「切ったほうがいいかな?」( 帝王切開のこと )
「それは先生が決めて下さいよ。」
「えーーー、どうしよっかなーーー。」
( ひそひそ話してるけど、
聞こえてますよーーー! )
( 無事に生まれるなら、
切っても切らなくても、
何でもいいからーーー! )
( イ、イ、イテーーーーッ!!! )
「ちょっと、お腹の上から赤ちゃんを動かしてみますよー。」
グリ、グリ、グリ・・・
( ウオーーーー!!!
イテーーーヨォォォ!!! )
「頑張って。もう一回。」
グリ、グリ、グリ・・・
( イヤーーー!!! やめてーーー!!! )
( もう切ってしまえーーー!!! )
「あっ! 動いた!!!」
私よりホッとした様子の若い医師。
* * *
どうにか帝王切開はまぬがれたものの、ついに痛みはピークに達した。
しかし、隣の分娩室から、私よりもっと激しいうめき声が聞こえる。
ここに来て、まさかの順番待ち。
( ウウウ・・・ イタイィィィ ・・・)
( ウオーーーー!!! )
隣の分娩で忙しそうな看護師さんを、何とか引き止めて、お願いをした。
「腰が砕けそう。
さすってもらえますか?」
「ごめんなさい。今、手が足りなくて。」
「じゃあ、待合室に主人がいますから、
呼んでください。」
息も絶え絶えに頼んだ。
しばらくして、ドアが開き、オヤジが顔を覗かせた。
「何?」
「腰をさすってほしい・・・」
「今、弁当開けたとこだから。」
べ、
弁当に、
負けたーーーーー!!!
そう。オヤジは、食べ物に弱い。
「もういいよ、
食べて来て。」
「分かった。食べたら、すぐ来るね ♪ 」
* * *
私がいよいよ分娩室に移動する途中、
廊下の向こうから、オヤジがやって来た。
「ご主人、立ち合いされますか?」
と、看護師さん。
オヤジの足が、
ピタッと
止まった。
マネキン状態。
「いえ、結構です。」 きっぱり、オヤジ。
* * *
子供は無事に生まれてきました。かわいい、かわいい、男の子でした。
オヤジ、病院に何しに来た?
弁当食べに来たのかーーーーー???
今日のひと言
あなたの旦那様が、あなたが苦しい時に、心から励ましてくれる人でありますように・・・