白血病と闘う③
こんにちは。
前回の続きとなります。
白血病と診断された三男、入院して間もなく4歳の誕生日を迎えました。厳しい治療が始まった頃の話です。
* * *
抗がん剤治療が始まった。点滴、飲み薬、全身麻酔をかけての脊髄注射治療( 実際には見ていないので詳細は分からない )など、いろいろな治療が組み合わせられていた。体の調子が良い日もあるし、きつい日もある。薬の副作用も出たり出なかったり。
三男はもともとのんびり屋さん。そしていつもニコニコしている。看護師さんたちからも、「癒されるぅ ♪ 」と可愛がってもらった。
入院治療は、うまく進んでも半年はかかるそうだ。途中で何かあれば中断するし、治療法を変えることもあると聞いていた。
長い。終わりが見えるようで見えない。もしかしたら途中で・・・なんて恐ろしいことも頭をよぎる。苦しくて、苦しくて、逃げ出したくて。つらくて、つらくて、投げ出したくて。
ひと月ほど経った頃、抗がん剤の副作用で とうとう髪の毛が抜け始めた。
「今ね、つよ~いお薬で、体の中のバイキンをやっつけてるんだよ。それで体がびっくりしてね、髪の毛が取れちゃうんだよ。でもね、また ちゃんと生えてくるから心配はいらないよ。大丈夫、大丈夫。怖がらなくていいからね。」
素直な三男は、私の言葉をすっと受け入れてくれた。
休みの日に、オヤジがやって来た。
「おとうさん、ちょっと売店に行って来るから、ここにいてくれる?」
「いいよ。」
売店に行き、必要なものを買って戻って来た。
「おとうさん! 何してるの!?
かわいそうだからやめてよ!!!」
思わず大きな声を出してしまった。
オヤジはベッドの上の三男にビデオカメラを向けていた。
そして、
「髪の毛がこ~んなに抜けてま〜す。」
と実況中。
しかも、
息子の頭に手を当て、わざわざ抜け落ちる様子を撮影していた。
「どうして、そんなことするの!?」
「だって、いい思い出になるじゃないか。
こんなことめったにないし。」
「お願いだから、やめて!
私がいやなの!!!」
感覚の違い・・・だろうか?
オヤジは「いい思い出」になると言うが、
私は「いい思い出」になんて絶対にならないと思う。
小さな体に、抗がん剤を繰り返し繰り返し投与して、見ているだけで苦しくてたまらないのに、「いい思い出」になんてなりっこない。
長男、次男、そして私たち。家族が離ればなれになって、抱きしめたくても抱きしめられず、泣いていてもなぐさめてもやれない。こんなにつらい日々が「いい思い出」になんてなりっこない。
今日のひと言
あなたの旦那様が、あなたの弱った心をやさしく包み込んでくれる人でありますように・・・